1.《ネタバレ》 あまりに想像力が豊かな作品というのは、僕たちの日常をあまりに超越していて、理解できなかったり、不快感を催したりするものです。もちろん、あまりの駄作も、同様の効果を生みます。、、、、、さて、僕は、この映画を見て、かなりの不快感と、理解できねぇ、という印象を持ったのですが、超傑作、駄作のどっちなんでしょう。とりあえず、駄作だという立場を選んでみることとします。、、、、、、まず、だらだらして、で、何が表現したかったのかわかりません。永瀬に「人を殺すのは怖いんだ」といわせ、軍事教練を見せて、戦争と平和のコントラストを描きたかったのだろうか、、、、。それともかつての身分制社会を批判的に捉え、平等な人間関係を讃えたかったのだろうか。それとも、友情や武士道みたいなのを描きたかったのだろうか、あるいは、必殺仕掛け人的な隠し剣??、、、、、いずれにしても全てが中途半端。永瀬が小沢に対してどうして友情的な感情を抱いていたのかが全く描かれていないし、そもそも小沢がどういう人物なのかもわからないし、あるいはどうして小沢が江戸で処刑されず護送されたのかも不明だし、江戸の末期に謀反って一体何のことかも不明だし、永瀬が家老を殺害する動機も十分とは思えないし、新型銃を使うなら永瀬が出かけてゆく理由がないではないかと思うし、、、、数えたらきりがありません。、、、そして最後が決定的に酷い。松が「これは命令ですか」と問うたのに対して、せめて、「もうそういう時代ではないのだ」くらいのニュアンスの言葉を語らせてくれ。永瀬が「そうだ命令だ」というとき、二人の身分関係は固定したままではないか。もちろん、それをややアイロニーを含んだ愛情表現と解することもできるけれど、そんな微妙な筋の展開だったとは思えない。、、、、、要するに、松竹は「たそがれ」二番煎じで儲けられると考え、山田監督は、再度アカデミーにチャレンジくらいの積もりだったのだろう。、、、、山田監督は武士という支配階級を主人公にした時代劇には向いていないと思う。もし山田的時代劇を撮りたいなら、せめて渡世人とか農民を主人公にすべきだ。