3.《ネタバレ》 あるラジオ番組で絶賛している人がいたのと、2005年キネマ旬報ベストテン第三位の作品ということで、かなり期待して見ました。・・しかし、面白いとは全く思えませんでした。その理由は以下の通りです。・・・1. 岸部が牛乳を一口飲んで捨てるというシーン。→人が苦労して配達した牛乳を殆どそのまま捨てるという光景自体が、醜い。そしてそれは岸部が、田中のことを好んでいないということを明白に伝えている。・・・通勤のシーンなどで、岸部が田中を意識しているというようにも思われるが、岸部が妻の手を握って寝たりすることを考えれば、岸部が田中のことをずっと思っていたなどということはあり得ない。・・2. 唐突な展開の多さ。→1)深夜放送のシーン。どうして容子が一人ベッドで深夜放送を聴くことになるのか、また田中と同じ放送をどうして聴いているのか、またそれが田中とどうしてわかるのか。2)最後の岸部の死のシーン。どうして田中は、人が溺れたと聞いてそれが岸部ではないかと思うのか。そもそも保護された子どもがどうして川辺にいて水にはまるのか。・・・3. 田中が30年間、岸部を思うというのも、考えてみれば悲惨な話。そういうのを美しいと思うのは、男の父権的、貞節イデオロギーに根ざしているのではないだろうか。4. 容子の死が間近になったとき、岸部が、容子に、そろそろ休暇をとろう、という。これは夫婦で、死について十分に話し合ってきた結果として出てくるはずであり、それだけ夫婦の絆の強さを思わせるが、岸部はどうして息子の絵を売って、夫婦としての歴史を清算しようとするのか。5.その場の思いつきのセリフが多いこと・・・1)疲れて何も考えずに寝る、といいながら、しっかり読書している。・2) 50歳から85歳が長いか、という発言をさせておいて、岸部をあっさり死なせている・・ 5. 「いつか読書する日」という題名が意味不明。・・・この「いつか」というのは過去経験の事柄に対して用いているのか、それとも未来に対して用いているのか。過去ならば、「いつか」ではなく、せめて「いつしか」くらいにしないと、過去の経験とは思えない。また仮にそうだとしたら、実際の社会とのコミュニケーションを欠いた、読書空間を評価するのは、現実逃避を評価するようなもの。・・・・・・・・とにかく、全体として、どういうことを表現したかったのかが全く理解できませんでした。