3.《ネタバレ》 ミもフタもない言い方ですが本作品は「イケメン、世渡り上手、口説き上手な性悪男(猛)」と「そんな男になぜか惚れてしまう尻軽女(智恵子)」と「頭の良い、人の善い、しかしモテないスネ男(稔)」が繰り広げる超あり得ない物語です。私は還暦を過ぎた一初老男性ですが若かりし頃こういう3タイプの男女は周りに見かけました。でも時が経ってみれば性悪男は家業を継ぎ堅実な経営者になったり、尻軽女もちゃっかり平凡なサラリーマンと結婚し良妻賢母になったり、スネ男も意外に不釣り合いな美女を射とめたり、が現実です(実例です)。この映画は性悪男とスネ男が兄弟、そのスネ男の営む地方のGS社員が尻軽女、その尻軽女と昔恋仲だった性悪男が都会から戻って来たのですから何か起こらないほうが不思議です。案の定GSで仲良く話す稔と智恵子をチラ見した猛のスイッチが入り早速その夜智恵子と関係します。稔もその辺のカンは鋭く猛に探りを入れるヒッカケ質問。そして稔はなぜか猛と智恵子を渓谷に誘う強引な展開。で、いくらだらしない下半身とはいえ「クソしてくる」と猛は川向うへ。そして猛を追って行く智恵子と稔がよりによって吊り橋の上でもつれ合い哀れ智恵子は谷底へ・・・」。(このシーン智恵子は迫ってくる稔を嫌悪感丸出しで拒みますが尻軽女というのはこういう場合「あ、ありがと」とか言って稔の手を借りるもんです) さてそこから裁判沙汰になり兄弟の証言から事件か事故か「ゆれる」の真骨頂が展開されるのですが縷々書いた通りそもそもの状況設定にほとんどリアリティが無いので白けるばかりです。猛が幼いころの8ミリを観て稔が高所恐怖症だったことを知る(?)とかラストシーンで稔が出所後バスに乗る(?)とか観る者の心もゆれる、なんてドーでも良くなります。多くの映画賞を受賞された名作を茶化すようなコメントを長々書きましたがこんなひねくれた見方をする者もいるということはご理解ください。オダギリさん、香川さん、真木さんの演技は非の打ちどころなく3点です。