3.《ネタバレ》 製作から10年以上経った現在の感覚でいえば、常識外れとかシュールとかいう点に関してはそれほどでもないというしかない。こんなものはこの映画で初めて見た、という驚きも特にない。それより作り手が自分勝手に作りたいという意思が前面に出ていたのかも知れないが、そういうものは自分の短い映画鑑賞歴の中でさえ結構見せられている気がして、一般人の立場でどこまで付き合うのかという問題になる。
結果としてはそれほど面白いとは思わなかったが、個人的には庵野秀明氏が教室の最前列でわめいていたのが最も意味不明で笑った。また自分としてはこういう場合は主に女優を見ているわけだが、その面では豪華キャストの「三人姫」の騒ぎは少し面白かったかも知れない。しかし同じエピソードの福沢諭吉は、まさかこうするつもりではないだろうなと思うことをそのままやってしまうのが興醒めというしかない。また別のエピソードでは元女子高生の態度だけはよかったが、締めの言葉が(題名も)「酒でも飲みますか」というのはあまりに凡庸な発想で、21世紀初頭のわが国の文化水準はこの程度だったのかと呆れ返る。詰めが甘いというのか緊張感に欠けているということなのか。
そういうものでもクリエーターへの敬意として、ここは一応それなりの点を入れておく。