1.《ネタバレ》 古来より若返りの秘術には禍々しさが付き物、そのためには胎児を料理することすら厭わなかった中華帝国皇帝の逸話すら存在するのに、アラン・ドロンが運営するこの療養所の秘薬はまあ大人しい部類じゃないでしょうか。大金を積んでやって来るいわゆる上級国民たちへ羊の胎児にポルトガル人の内臓と血液をカクテルして注射するのがミソ、まあそう言われればそうかもしれませんが大してショックはなかったですね。それよりもショックだったと推測されるのは、“ダーバン”のCMでその渋さが日本中で知れ渡っていた真っ最中に、陽気な音楽にのせてフルチンで砂浜を駆けるドロン様のお姿に女性ファンは驚愕(いや狂喜?)したんじゃないでしょうか。この療養所自体が半分ヌーディスト村みたいなもので、ヌーディズムなんてまだ未知の文化だった日本人には刺激が強かったかもしれません。それにしても70年代のフランスの男優・女優の脱ぎっぷりの良さには感心します。 サスペンスとしてはユルユルもいいとこで、まあ評価はできません。肝心のドロンのキャラがマッド・サイエンティストなのか単なる女好きなのか判断に苦しむようじゃ、どうしようもないですね。アニー・ジラルドのヒロインも、物語の探偵役なのか被害者サイドなのか立ち位置が不明瞭でしたね。ドロンと一夜を共にした朝、まるで少女の様にはしゃぎながらシャワーを浴びるところは苦笑するしかなかったです。たしか彼女は冒頭の問診には自分はレズだと答えていたのに、よっぽどドロンのテクニックが凄かったんでしょう、そりゃあ天下のアラン・ドロンですからねえ(笑)。