1.《ネタバレ》 黒沢清「回路」のハリウッド版リメイクだ。思ったとおりのトホホな出来である。
次から次に人が消えていく現象について、ガイジンは頭で理解しようとするので「電波の届かないところへ逃げればOK」というとんでもないことになってしまう。
そういうことになってしまったら、「咬まれなければとりあえずOK」のゾンビとか「日の当たるところに居ればOK」の吸血鬼と同じレベルのモンスター劇だということになる。あげくに乾燥機から可視化したモンスターを出すところまでいっちゃう。
だからそんなん無いんだって。
「回路」は敵と闘って打ち負かす映画では全然なくて、不条理に人が死んだり消えたりする恐怖の中に一定の法則が有り得るのだろうか、と悩むための映画なのである。だから、ハリウッド版で「やつらは」といわれるその「敵」なんてものがそもそもないはず。打ち負かしたり回避するための確実な方法が存在しないことが、いわく言い難い恐怖をよぶのである。
ハリウッドの面々は「回路」のリメイク権を即断したくせに、内容は全然わかっていなかったというか、いったい何を見て決めたんだというくらいに別物。
「回路」を別物にしてしまったら見どころなんてものはほとんどないので、ただひたすらにトホホ。