1.『トランスポーター』シリーズも3作めを迎え、ジェイソン・ステイサム版の終章となるワケですが。
いや、もうコレは何やカンや酷すぎちゃって……。
まず、アクションがダメダメ。監督が変わって一番ダメになったのが、このシリーズのキモとも言える格闘アクション。寄りのシーンが多く、短いカットを矢継ぎ早に繋いでいく見せ方は、スピーディではあるが何をやっているのか判り難くドタバタしているだけ。動きの美しさもなければ、せっかくのアクションの全体像と大きさも判らない。
次に、なんじゃ、あの如何にもベッソン好みのぶっさいくなヒロインは?! “2”の悪役女とタメ張ってるぜ。アレがウクライナの外交大使の娘? 彼女自身がうなじに看板背負ってるように「安」い娼婦にしか見えないんですけど? しかも間延びした会話の遣り取りと無駄な濡れ場が緊張感を削ぎまくる。
そして、終盤のご都合主義の雨霰がダメ。もう話の破綻っぷりが半端無い。例えば犯人がフランクをダムの有る場所に呼び出すのだが、フランクが到着するとボスを含めたグループご一行様が既にご到着あそばして待ち受けている。何、その機動力? しかもそこでフランクを殺そうとする。だったらお前らフランク必要無いじゃん?! お前らが女連れて動けよ。
さらに犯人グループが主人公の腕に付けるブレスレット型爆弾は、ペンタゴンの機密コードでしか外せない代物だったはず。ところがクライマックス。犯人のボスを追い詰めた我等がフランクは、いとも簡単にブレスを外しボスの腕にカチリと嵌め直したではないか! その他にも、ダムに水没した車が引き上げた途端にエンジン音も快調に走り出したり……。今時マンガでももう少しリアリティに気を遣うぜ?
他にも、ツッコミだしたらキリがない。もう、これだけ酷い出来に成り下ってくるとね、ここで降りておいたステイサムは賢かったな、と。