1.《ネタバレ》 パズルの如く図式化しながら構成を練っている脚本現場が目に浮かぶようだ。
例えば、唐突に挿入される小池栄子の不倫のエピソードなどは、
恋愛のままならなさといったものを弁明するために安直に取ってつけている事が
見る傍から判ってしまう。
つまり、彼女は程よく込み入らせたストーリーの辻褄合わせの都合から
象られたキャラクターでしかなく、単なる説明の道具でしかない。
そのように頭でつくった露骨な作為が見えてしまうと、
当然ながらその人間味などは薄れ、
彼らの合唱も単に上手い歌でしかなくなってしまう。
様々な歩行や移動のアクションで何とかバリエーションをつけているものの、
吉永小百合と各生徒との再会をことごとくワンパターンな台詞とリアクションで
反復させてしまう芸の無さは救いようがない。
いかにも日本アカデミーあたりが撮影賞を与えそうな、
いかにもの絵葉書的景観ショット、
助演賞を与えそうな森山未來の吃音演技がまた打算的な感じが勝って心に響かない。
さらに、いかにも時宜にかなった優等生風のメッセージからして、
作品賞あたりも目論んでいるかも知れない。