10.デヴィッド・リンチを彷彿とさせるような(特にマルホランド・ドライブか)、悪夢的映画。・・と書くと見応えある作品に仕上がっているように見えるが、実際のところはマルホランド・ドライブのような重厚さは感じられず、ただただ監督が好き勝手に夢をぶちまけているような作品に思えた。
刺激的なシーンがいくつもあるのだが、やはり北野ブルーの中にパッと光るような刺激があるからこそ驚くのであって、この映画のようにただ連発されるとだんだん慣れてきてしまって、逆に感覚が鈍ってくる。
整理するとおそらく・・・
「大物スターであるビートたけし」が夢を見る
→夢の中での自分の分身像である「売れない役者北野」。
さらにこの売れない役者北野がコンビニバイトのうたた寝中に夢を見る
→それは血まみれの男から奪った拳銃で滅茶苦茶やった挙句、最期には自分自身である大物スタービートたけしをも刺し殺す夢
このような、「夢の中のもうひとりの自分が見た夢」という設定で複雑に映像化しているのだと僕は解釈した。
監督が自分自身をぶっ壊したいっていう願望の現われなのかな・・。
残念な事は、難解な映画だが頑張って自分なりに理解出来たからといって、別に特別な感情も湧いて来ない事。
ドラッグムービー的な中毒性も、単純に映画としての魅力もあまり感じ取れなかった。
なんだか残念。
ちなみに「TAKESHIS’」は「たけし、死す」だそう。