5.《ネタバレ》 ゾンビ映画の巨匠・ロメロ監督も、この頃の作品になると面白さも怖さも半減しているのが残念。
本作では「ネット時代の映像発信」と「POV(主観映像)」をテーマに、誰もが情報発信できる現代の人間社会を軸にゾンビ映画を作ったわけだが、取り立てて新鮮味もなく、これがロメロ作品でなければ全くのB級映画扱いされてもおかしくないクォリティーだった。
とにかく、メインとなる学生グループメンバーの行動がひとつひとつ愚かすぎて、誰一人全く感情移入できない。
唯一「教授」は深みをもったキャラクターだったが、生かし切れていない。また途中「納屋の主人」や「窃盗集団」のように、面白そうなキャラクターは出てくるものの、ほとんどストーリーに絡ませないのはもったいないことこの上ない。
お約束のグロシーンは、CG効果でより悪趣味になっている分、全く響いてこない。昔の手作り特殊効果の方が数段グロかったし、怖かった。
ラストシーンに象徴されるように、本作でも「一番怖いのは人間」ということを言いたかったのかもしれないが、それ自体言い古されたメッセージで、見おわっても何の感慨も残らなかった。
ロメロ監督は最初の三部作で止めておけばよかったと心から思う作品。