1.《ネタバレ》 様々な形状のランプシェード、幻燈、ネオンサイン、暖炉、ヘッドライト。
あるいは、動乱の予兆ともいうべきマッチの発火に銃の発砲火炎と、暗闇に浮かぶ光の要素は数多いにも拘わらず、明暗のコントラストが際立たず、官能性にも欠ける。
結果として光も闇も共倒れの印象で、その辺りもラブロマンスとしての弱さの一因かも知れない。
ノワールなら、せめて濡れた路面への照り返しや、黒塗り車の艶光や、煙草の紫煙へのこだわりは欲しい。
ジョン・キューザックがコン・リーを尾行するシーンはほぼ起点と終点のみで、映画として肝心な経過の描写を欠き、上海駅ホームの群集シーンも同様に、追う・追われるのサスペンス醸成が拙い。
日本大使館前での暗殺シーンのカットバックも、クライマックスのショットガンの撃ち合いも編集が乱雑すぎる。
巷で騒がしい政治性論議などはどうでも良いとして、これでは乗れない。