2.《ネタバレ》 原作者が脚本を書いている。だから、表現したいことは外していないのだろうが、それが映像化できるかどうかは別物なのだと思いました。失敗したクチです。原作を読んだとき、絵的な素材としては正にアニメ向きだと思いました。でも、心の表層に浮かんでくる些細な感触を巧みに言葉に変えて心情を形成するような筆運びなので、そのナイーブな内面を絵にするのは難しかったようです。主人公がたびたび口にする「なぜ私なの?」という問いかけが、本作では虚ろに聞こえます。補足なしに台詞だけを追うと、理解不能な単語も多い。周囲の空間全体を知覚し、電子機器を皮膚感覚で操る主人公の能力表現に、もう少し説明や表現の工夫があった方が良かったです。主人公を狙う殺し屋たちがただの変質者に見えるために(彼らは凄腕の集団です)、それを軽くいなす主人公の能力の凄さが伝わって来ません。文章から想像する絵柄の方が迫力があるってどうなの…。ひとつ感心したのはウフコックを担当する八嶋智人の声と演技が原作イメージにピッタリだったこと。