1.《ネタバレ》 作ったのは東京芸術大学大学院映像研究科の学生。
古典落語の『ねずみ』『死神』『猿後家』を原作として、『ビフォーアフター』『ライフ・レート』『猿後家はつらいよ』の三編からなるオムニバス。
冒頭とラストには落語家へのインタビューがある。
『ビフォーアフター』は盛り上がりもなく特に印象に残らない。
『ライフ・レート』は世にも奇妙な物語風の作品。
『猿後家はつらいよ』は『ラヂオの時間』のように作者の意図から離れて作品がどんどんダメになっていくストーリー。
三編の中ではこの3話目が一番よかったかも。
原作の落語にとらわれずに大胆に構成し直していて、原案の『猿後家』は劇中劇で使われている。
ただ、『猿後家』である必要性がほとんど感じられないので、落語ファンには肩すかしだろう。
落語が原作にはなっているが、映画はそれとは完全に別物。
落語家のインタビューからは映画よりも落語に対する自負が強く感じられる。
この映画が成功か失敗かは、映画と落語を両方見てどちらが面白いか比べてみると答えが出るのでは?――立川志らくの言葉からも映画より落語のほうが優れているとの本音が滲み出ている。
個人的な感想をいえば、落語家の本心と同じで断然落語のほうに軍配を上げる。
それでも、否定的な感想も含めてインタビューを変に都合よく編集しなかった潔さは好感が持てる。
ただ、インタビュー部分はDVDの特典でよかったような…。
映画公開から半年以上経っても本サイトでは登録さえもなく、これが初レビューになるほどひっそりしていて、ほとんど知られていないようなマイナー作品としてはそれがまたごく自然に思われる。
ところが、某大手レビューサイトでは既に数十ものレビューが投稿されており、極端な賛否が激しく対立してレビュー批判のバトルのようになっているのが明らかに異様な感じ。
それを見ると、本サイトはまだずっと健全なようだ。