1.あああ…最近「釣られてレビュー」が多いな。原作と比較するとハッキリ言って駄作です(原作はもう絶版だけど…)。なぜにコアな近未来ハードボイルドが人間賛歌SFになっちゃったんだろう。正直な話『ブレードランナー』見た時、「これ『ソイレント・グリーン』のリメイクじゃないよな」って居心地が悪くなった記憶があります。オリジナルはそれくらいスラム化の激しいアメリカを描いていたのだよ。ガソリンが枯渇してるので弁髪の中国人が自動車を引っ張ってるとか、郵便制度が消滅して小さな黒板ぶら下げたメッセンジャーボーイが街を駆け巡ってるとか、人が増えすぎて部屋どころか廊下ですら寝る場所がないとか、そんな世界で一片の美味そうなステーキ肉がギャングのボスの元に届けられる…って、猥雑でチープなストーリー展開が魅力だったのだ。ハッキリ言ってラストでも救いはありませんが、この映画みたいに潤色したハリボテな絶望じゃないし。ただ、この映画がオイルショックの引き金のひとつになったのは間違いないところ。映画を離れて極めて歴史的な価値を持った(というより歴史を変えた)作品でもある。これぐらい扇情的にしなければ、世間というものは動かないのかもしれない。ショービズ界のやるせなさを想ってしまいます。