2.《ネタバレ》 海難事故で亡くなった小学校の同級生の葬式で、久しぶりに集まる面々から悲しみは感じられない。
葬儀に出るのも面倒くさそうなので、朋美の希薄な人間関係がうかがえる。
みんなの昔話から次第に朋美の人間像が明らかになっていく。
小学校の回想シーンは、ノスタルジーを刺激する。
幻影で小学生の自分に出会い、朋美の靴を隠したことを思い出したのは、朋美に好意を持っていたことを確認することになる。
汚いからボールをぶつけられなかったという本心とは裏腹の言葉が、朋美を傷つけた切ない痛みを伴って蘇る。
子供の頃の何気ない残酷な行為が甘酸っぱい後悔となって残るという経験は、誰しもがあるのだろう。
ファンタジー仕立てで、どこからどこまでが現実で幻想なのか判然としない。
冒頭のニュースで死亡者12名が全員クラスメートの名前だったとしても、それに意味を持たせるのはあまりに不親切。
観客が通常気がつかないようなことをするべきではないし、謎を投げっぱなしでわからないヤツは置き去りにしてしまえという作り手の傲慢さを感じる。
12人死亡したのが全員関係者なら話が全然変わってくるし、ストーリーも破綻しているように思える。
結局、何を描きたかったのかがよくわからず、よかったのはノスタルジックな雰囲気と映像の美しさ。