3.《ネタバレ》 実在の人物がモデルだが、主人公の戦場カメラマンに共感できない。
動機がよくわからないからだ。
子供の遺体撮影を激怒するおばさんがいたが、そちらの気持ちならよくわかる。
正義感や使命感、ジャーナリズム精神などといえば聞こえはいいが、どうしても空々しく聞こえる。
戦争に対する怒りよりも、いいショットが撮れたとの興奮が優先して見える。
金や功名心を臭わせるシーンもあったが、人が命を落としている場面をカメラに収めて回る姿に腹立たしさを覚える。
共感できない主人公の行動を淡々と追われても、見ていておもしろくない。
なぜアンコールワットを目指したのかが伝わってこないので、それを目の前にした姿を見ても感動も何もない。
戦争の巻き添えになったとしても、リスクは承知の上だろうから自己責任としか思えない。
下手に反戦やヒロイズムに脚色して主人公を美化したりはしていないので、リアルさだけはある。
地雷で吹き飛ばされる子供や簡単に人が殺されていく様子に、戦争の実態、狂気を感じる。
それだけになお、そこへ自ら好んで身を置くことがわからなくなる。
「自分探し」をするにはあまりに危険な場所なのに、自分は大丈夫という思いがどこかにあったのだろうか。
「地雷を踏んだらサヨウナラ」という言葉とは裏腹に、死を自らに降りかかる現実として受け止めていないようにも見えてしまう。