1.《ネタバレ》 「監修 清水崇」が前面に出ており、いわゆるジャパニーズホラーの波に乗って作られたものの一つに見えるが、「呪怨」の劇場版公開には少し先立つ形になっている。脚本・監督の柴田一成という人物は、昔からしょうもないホラー映画のプロデューサーなどをしていたので名前は知っているが、商業映画の監督としてはこの映画が最初だったとのことで、後の「がっこうぐらし!」(2019)に至る第一歩ということになる。
しかしホラー映画としてそれほど語りたくなるものはなく、劇中の出来事も映画紹介に書かれた範囲からほとんど出ていない。監督が以前に撮ったという短編「フライト・フロア」など見ても、真昼間にホラーを作れること自体はわかるとして、この映画の廃校はどうも閉塞感が足りない。ビル街の中にあるため(西新宿とのこと、旧淀橋第三小学校か)、その辺に見えるオフィスで普通に勤務している人々がいるだろうことをどうしても意識してしまう。また安手の邦画ホラーによくあることだが、そんなところで引っかかっていないでさっさと逃げればいいだろうがと思わせる場面も多い。
わずかに、ラスト近くで多数が迫って来た場面は悪くなかった。似た印象の場面は「呪怨2」<OV>(2000)にもあったが、これの方が意味ありげに見える。個人的には人物の姿が「クリスティーナの世界」を思わせた(というと不謹慎か)。また最後のオチも少しよかった。
登場人物としてはローティーン(演者は14~15歳)のアイドル3人が、学校でグラビア撮影をする設定にして制服姿や体操着姿を見せており(水着はない)、ロリコンじみた趣向で人目を引こうとしたらしい。しかし怪異の原因自体が児童ポルノ的なものだったようで、最終的にも少女を食いものにする業界への皮肉が込められていたように見えなくもないが、それも単なる言い訳のようでもある。
ドラマ的には、主人公の少女が最初は大人に反発していたが、友人を助けるためにあえて協力して、ともに脱出を目指すことにした、といった感じのようだが別に感動的でもない。少し読み込んでやろうとしても話が薄いので困る。
映画としてはまだ習作的に見えるが若手の演者はそれぞれ頑張っている。終盤の「なんでなんでなんで」は、個人的に好きではないが印象的な台詞だった。