1.《ネタバレ》 90年代に入ったくらいから、寅さんはもちろんとらや(くるまや)ファミリーまで一気に老け込んできたんだけど、それより先にスタッフの方が力尽きたというか息が上がってしまったの?と思うくらい、内容に乏しい作品。●かたせ梨乃はマドンナとして機能していないし、逆に女優としての魅力も引き出されていない。牧瀬里穂は、最初の方の不機嫌なシーンが、本当に怒っているようにしか見えない。よって、その後に満男君相手に急にいい関係になっても、不自然にしか見えないのです。●この作品の最大の意義は、谷よしのさんの登場シーンです。次作には出演しなかった谷さんは、これがシリーズ登場最終作品になりました。その谷さん扮する宿屋のお婆ちゃんに対し、寅さんは「世話になったね。ありがとう」と挨拶し、心付けを渡します。脚本上はまったく必要のないシーンでです。これは絶対に、長年にわたりシリーズを飾り続けてきた谷さんに対する制作者の感謝の表れであると考えています。