1.《ネタバレ》 『モテキ』の絶叫モノローグが使いどころとバリエーションを心得て
より効果的に使われているのに対し、
その二番煎じのようなこちらは終始一本調子であり、
終いにはいい加減飽き飽きしてくる。
そして、あくまで森山未來のアクションやダンスによって映画を弾けさせる
『モテキ』に対してこちらは松田翔太の顔芸と奇怪な挙動と、
原作由来だろうダイアログのギャグ頼みだ。
それはやはりテレビの笑いに近く、映画の笑いとは云えない。
蓮實重彦の『バットマンビギンズ』評ではないが、
自動車で並走しながらの愛の告白という絶好の映画的シチュエーションをつくりながら、
そこに流れる風景を画面に収めて走行感を出す才もないために
情動が喚起されることもない。シーンを停滞させ失敗している。
佐々木希の演技が不十分ならそれこそダンスの見せ場でも作ればよいものを、
その知恵もなく、単にファッション着せ替えのモデルでしかない。
彼女に関しては、かろうじてラストの上段蹴りのショットが救いである。