7.《ネタバレ》 一人の男の人生を描いたアニメ映画。
主人公は、幼い頃に飛行機にあこがれ設計技師になり、戦闘機を設計した男。
「飛行機が作りたかった」
「戦闘機が作りたかったわけじゃない」
「人殺しの道具なんか大嫌いだ!」
そうだろうか?
人殺しのための戦闘機を作った人が何を言ってるか?
宮崎駿監督も同様だ。人が機械を使って人を殺すシーンを多数作った。
さて現実の世界は、人気者がいるし、嫌われ者がいるし、ほとんどは平凡な者。
宮崎駿が一貫して描いた主役たちは、権力者の血筋か裕福な者だけ(親が学者が多い)。
『ラピュタ』の父親は冒険家で、住居から裕福な血筋なのは明らか。
勘のいい子供は、宮崎アニメを観ても満たされない。
ひねた子供なら「ケッ」とツバを吐くんじゃないか。
この映画の主人公は設計技師。
工員じゃなく工場長でもなく、スーツで通勤するメインスタッフ。
宮崎アニメはヒーローや人気者、成功者の世界で、トッド・ソロンズ監督が描く世界とは真逆。
ところで効果音を声で表現したのは、異常な感じで面白かった。
【追記 2018年2月23日&2022年1月11日】
ジブリができる前、40代の宮崎駿は無名で不遇な頃があった。
テレビアニメの原画(だけ)を描いたりしていた(太陽の使者・鉄人28号)。
宮崎によるルパン第二期の二つの話は、傑作と言われてる(アルバトロスと最終回)。
第二期のルパンは、彼がやりたくてやった仕事ではない筈、やりたくなかった筈である。
そしてこの『風立ちぬ』にはジブリ以前の、魅力的だった「何か」が全くない。
私はそう思った。彼は試写で初めて泣いたらしいが。
長編アニメ引退宣言を反故にして今制作中の長編アニメ『君たちはどう生きるか』は2023年頃に完成予定らしい。
『君たちはどう生きるか』の原作小説はどんな作品なのか。
ウィキペディアに日本の文学者・高田里惠子氏による評価が載っている。
それを読んで寒気がした。
宮崎駿監督というのは、つまり、私の想像通りの人らしい。