1.《ネタバレ》 ゲームの映画化とのことで、同じ年に公開された「デッドクルーズ」のいわば姉妹編である。低予算らしく安手の雰囲気で、その辺はあらかじめわかった上で見る必要がある。
この映画は遊園地を使った殺人ゲームという趣向で、ゲームキャラだとどれだけ殺しても良心は痛まないのか、というような問いかけも一応入ってはいるが、どちらかというと罪もない一般人が生命を賭けたゲームを強要される(+主人公が人間的に成長する)という、よくあるパターンに単純に乗った形になっている。
全体構成としても特に目新しさはないが、少なくとも序盤の展開にはけっこう意外性がある。また全身が黒いので目に入らないとか声が喉につっかえるとか、劇中人物が嘲笑されると笑い声が入るとか普通の風景と思ったら罠だったというような細かい面白味もなくはない(感電死した人はご苦労様)。ほか客観的にみれば自律進化型ピエロの挙動といったものも見どころなのかと思われる。
最後の場面では、主人公の「同じこの空の下で」という台詞自体はいいと思ったが、「空」という言葉がそれ以前のストーリーと関係ないため唐突で、かつその直後の不吉な状況には直結するのでせっかくのしあわせ感が失われてしまうのは残念だった。結果的に満足感の高い映画ともいえなかったが、まあ初めから全く期待しないで見ればそれほどの落胆もないと思われる。
なおキャストの中で、主人公のメイ役(荒井萌)がひときわ可愛らしいのはこの時まだ13歳だったからで、チカコ役の星井七瀬という人に可愛がられていた(実妹と同年齢とのこと)という話は和むものがある。また完全にどうでもいいことだが、メイキングを見るとデブオタ役の俳優のオールアップ時に、花束を持った監督がはるか彼方から疾走してきてそのまま俳優に抱きしめられていたのは、どういう事情でそうなったのかわからないがとりあえず可笑しい。和気藹々とした現場だったようで結構でした。