3.難解なのにも程がある。あきらかに許容範囲を超えている。
メメントは難解だったが、1度見ただけでも、大筋は理解できる。だが、本作は本当に綺麗さっぱり意味が分からない。難解な映画は2回見て理解を深めようと思うし、それがまた楽しかったりするのだが、そんな気すら起きないほどに難解であった。
時間が逆行する世界という基本設定がすでにすごくややこしいのに、さらにそこに未来人だの、武器商人と妻との関係だの、大きいことから小さいことまで含めていろんな要素が出てきて、しかもそれすらも説明不足で難解。もう、わけがわからないよ。
そもそも時間が逆行していて、自分だけが正の時間でいる時、自分が周りの世界にどのような影響を与え、どのような影響を受けるのかが、感覚的に全く理解が追いつかない。なので、例えば最後の戦いで砲弾の爆発の中走り抜ける、というシーンでも、「その砲弾に当たったら死ぬの?」と首をかしげながら見続けることになる。
アクションシーンがすごいと評判だが、そのほとんど(カーチェイスも殴り合いも銃撃戦も)が、逆行と順行が入り乱れるものばかりで、見ていて脳みそがついていかず、全く楽しめない。
こんな意味不明の映画は、映画界ははっきりノーと言うべきだと思うが、残念ながら高く評価された。映画評論家の意見を色々見てみたが、難解であることをネガティブに評価している人は一人も見つけられなかった。
この映画に限らずだが、映画評論家は難解な映画に高評価をつけないとカッコ悪いと思っているきらいがある。ましてやノーランという大御所の撮った作品だ、ますます批判もしにくいのだろう。映画評論家もそろそろ「王様は裸だ」と言える勇気を持ってはいかがだろうか。
最後に総評を書こう。見終わったあとに「ワケワカラんかった!」と誰かに言いたくて仕方がないインパクトはあったし、ノーランの挑戦する姿勢は買うけど、単純に映画はつまらなかった。