1.《ネタバレ》 宣伝とは裏腹に、実話原作ではあるけれど、超簡略化と結構な改変をして、とてもわかりやすくしてあります。進路含めた親子関係や師弟関係、事故からの立ち直りなどに申し訳程度に触れてますが、深掘りすることは潔く諦めてます。いっそ販促映画じゃないかってほど、割り切りが心地よいくらいでした。
画面作りに、いろいろゲームのエフェクト入れてます。ゲーマーなら喜ぶから、これはこれでありかも。ただ、参考までに、普通の映画を見たい私には煩わしかったです。
レースの画面は、アングルを様々変えて、空撮を入れて、エンジン・動力伝達を瞬間で挟む王道の撮影方法。ゲームのエフェクト足して描き方を工夫しようという痕は見えますけど、ゲームエフェクト入れるとやっぱりちゃちいです。最近の映画だと「フォードvsフェラーリ」には全く及ばない。まあ、ちょっと仕方がない。ゲームとのリンクが主題だから、本物の迫力を強調しすぎるとダメなんでしょう。画面のパワーがないです。
映画みたいにeスポーツのシムレーサーがちゃんとレースやれるかと言うと、難しいです。映画でも言ってましたが、レーサーはアスリート並みの体力が基本で、そうじゃないとコーナリングのGが無理です。シムレーサーからレーサー目指すなら、まずは体力を。実際のヤンが活躍できたのは、父がプロサッカー選手で、体格や体力がヤンに伝わっていたことが大きいんですが、それを映画のあの役者の体格で読み取れた人がどれだけいたかなあ。
主人公ヤンの役者が、選択失敗。アスリート体型を父から引き継いだという感じが全くないモヤシだし、演技も下手だし、人を引きつける魅力がない。モデルのヤンが混血だから、似た俳優を使ったということなんですが、その必要は全くなかった。エンディングで本人写真を出して、ほら似てるでしょうとやる必要なんてないんです。最近の主人公は褐色か黒でなければならない、という風潮にSONYも屈してしまったか。誰でも知ってる有名人をモデルにした映画じゃないんだから、単純に主役も、魅力ある人を使えばいいんです。なんなら白人だっていいんです。実話が元だから、という声も全く妥当には思えない。だって、魅力的に思えるようにすごい改変してるじゃないですか。ヤンはGTアカデミーの初代じゃなくて、3期目の優勝者でしょ。初と3期目じゃ意味合いが全然違うのに変えてるじゃないですか。初めてこんな夢の計画が始まったって驚喜するのと、3期目に応募してみようかなって全然違いませんか?
映画プロモのためにも変えてるじゃないですか。初代にもヤンの同期にも韓国人なんかいないじゃないですか。韓国人がGTアカデミーに初参加したのは、ヤンの3年も後なのに。
ル・マン3位を強調してますが、実際はただのクラス3位で、しかも車も全然違うじゃないですか。わかりやすい悪役のCAPAチームってモデルいないじゃないですか。
いろいろ変えてるんだから、魅力のない主人公はやめて欲しかったですよ。主人公以外の造形は良かったです。オーランド・ブルームははまり役。オードリーちゃんは、もっと若ければ日本でも受ける容姿だと思います。
まあ、いろいろ書きましたが、頭からっぽ映画としては良いんじゃないかな。「第9地区」の監督は、こんなのも撮れるという驚きもありです。