6.《ネタバレ》 長い歴史で映画のネタは出し尽くされた感はありますが、「強運を戦わせる男の物語」という本作の着想はかつてないものであり、そのアイデアは素晴らしいと感じました。後に『28週後…』の監督に抜擢されるフアン・カルロス・フレスナディージョによる演出も重厚感があり、フェデリコとサミュエルの愛憎関係が描かれる冒頭では、傑作の予感すらしました。。。
ただし、本作はその序盤が全てでした。本編に入ると、映画は完全にダメダメになってしまいます。肝心の運試しにまったく面白みがないし、おまけに雰囲気重視で説明を省略しすぎた結果、設定やドラマが観客にほとんど伝わらないという残念な状態となっているのです。具体的には、「相手の運を吸う」という設定が直感的にわかりづらかったし、それに伴い、主人公の彼女の立ち位置も不明確なものとなっています。女刑事も何のために存在しているのかよく分からず、サミュエルとフェデリコ、フェデリコとトマスのドラマに焦点を当て、よりシンプルな物語にすべきだったと思います。