1.《ネタバレ》 とても中途半端な映画。最初は音楽が入らない中で物語が静かに進行し、映像も綺麗だったため期待したが、中盤以降、突然抒情的な音楽が入りはじめ、話もどんどんくだらない方向に流れてしまった。テソクがソナの家に戻るのも簡単に読めるし、ソナの旦那が超分かりやすい悪人なのもどうかと思う。そもそもなんであんなやつと結婚したんだか。ソナが気の毒とも思えないし、笑うのも憚られるし、対応に困る。
また、キャラクター造形でも、テソクが極端に無口なので、心の動きが何がなにやら分からない。あんだけ人の家で寛いでたら、これまで何度も逮捕されていて可笑しくないのだがなぜか初犯扱い。ゴルフボールで人を殺しといて逃げる。当然ああなることは予測すべき。頭の悪い男だとしか思えなかった。こういうお馬鹿さんな上に辛気臭い二人が主役だと俄然鑑賞のテンションが下がる。
あとはコメディかと思えるほど酷い箇所も何箇所か。まず、3番アイアン(邦題も邦題ならこの原題も原題だ)をああいう風に思うがままに振るのはかなり難しい。これは経験者として言えるが、あんなに一瞬でゴルフは上達しないし、テソクのあのフォームできちんとボールが標的に当たると思えない。他には監獄の気配を消すシーンも笑えた。実際は監獄で死んだという解釈も出来るのだろうが、それにしても香港映画みたいな妙な動きで看守の後を付回したり、スパイダーマンみたいにドアの上の壁に張り付いたり。もうちょっと観念的な撮り方は出来なかったか。期待していただけにガックリ来た。