11. この映画を観て、真っ先に思い浮かんだのがオダジョーと仲間由紀恵の『SHINOBI』だった。酷いCG、グダグダな展開と構成、有り得ない演出とカメラワーク……。正直、この映画はあの大失敗作から一歩も進歩していない。
そもそも、冒頭。漫画とナレーションでカムイの生い立ちから青年になるまでを説明しておいて、実写になった途端にカムイがガキに戻ってるところで、普通の観客は置いてけ堀を喰らうわな。orz しかも、松ケンカムイはホッペがふっくら、身体にも脂一枚乗った感じで、全然追っ手から逃げ回ってる悲壮感がない。「毎日イイもの食ってんだろうなぁ……。抜け忍生活も悪くないんじゃないか?」なんて思わせる時点で、もう失敗でしょ。w
さらに、アクション、鳥、サメ、風景その他諸々、出来の悪いCGを「これでもかっ!」とばかりに使いまくるのに至っては、観客が「新手の拷問ですか?!」と自分がカムイの代わりに責められてる気がしてくる。
役者陣も、松ケン、大後寿々花、佐藤浩市、金井勇太などなど、いわゆる芝居上手や芸達者を贅沢に使いながら、誰も活かしきれていない。唯一、小林薫だけがわりと伸び伸び自分の芝居をしていたように思うが、これはキャリアの賜物だろう。
他にも脚本、キャスト、演出、まだまだ言いたいこと(ツッコみたいこと?)はいっぱいあるんだが、なんかもうイイや……。そこまで熱くなる価値もない作品。
だいたい、なんで今どきカムイ? ここのレビューを見てもわかるとおり「あんな能力があるのなら、とっくに世界征服を……」とか、「なぜカムイはあそこまで執拗に追われてるんだ?」とか。ごもっともである。今の若い人達は、俺らオッサンと違ってカムイを忍法帖として楽しみ、忍者に憧れることはないのだ。もっとシビアで現実的なんだよ。確かに実際には忍者にあんな超能力などあるはずもなく、抜け忍一人を執拗に追い回す余裕も暇もない。それを言っちゃあ、お終いよ……、なんてのはオッサンのノスタルジーでしかないワケで、そもそも企画から「コレ、需要ある?」ってなモンなんだよね。
ま、それでも松ケンと小雪にとっては記念すべき作品なんでしょう。二人とも嫌いじゃないので「おめでとさん」と言うことで+1、目一杯の4点を。