8.とてもシンプルな「属性で僕(私)を判断しないで」映画だった。
つまり在日問題を扱っていながら在日問題を主題とし
ていない映画であったとも言える。映画に作家性が不要であるなら、この映画は一応の成功を遂げたと言っても差し支えない。しかし例えばハリウッド映画でさえ作家性(それがカメラアイ的な側面であった
にせよ)が顕著な現代において、この映画のように極端にその作家性
を消去することに果たしてどんな意味があるのだろうか。
原作者へのオマージュとして「この映画は金城一紀の原作に基づい
ている」なんてメッセージから冒頭スタートするのだが、
このことが結果的に没作家性宣言を如実に示してしまっている点に
についてはなんとも皮肉だろう。