10.《ネタバレ》 スパイク・ジョーンズとミシェル・ゴンドリーとチャーリー・カウフマンが集結したというと、知る人ぞ知るものすごいスタッフ陣ということになるのであろう。映画界で最もエッジーなところにいる彼らの才能が…結集したと…言えるのだろうか???
皮肉で人を喰った演出はちょいとキューブリックの「博士の異常な愛情」の雰囲気を真似たような感じがする。テーブルマナーを学ぶネズミとか多毛症の女性とか類人猿として育った人間とかが、すべて何かの象徴として提出されているといううっとうしい話なのだが、決定的なものが足りないのです。
それは、「突っ込み」役の存在だ。だいたいここでは全員がボケているわけだから、ボケたまま話がどんどん進むとそれは、「わかるヤツだけにわかればいい」ということになってしまいます。
ボケには突っ込みが必要なのです。…つまり「アダプテーション」におけるチャーリー本人の役割のような、「ボケている事物に対して違和感を表明する」キャラクターがどうしても必要なので、それはライラ本人が独白でノリ突っ込みしつづけるということでもよかったし、でなければ第三者的な立場のキャラを創設して突っ込ませ「違和感を表明する」べきであった(もちろん突っ込み方はソフト突っ込みでもかまわない。)。
そうなっていないので、「ヘンな人たち」が「ひたすらヘンなことをしている」というふうになってしまうのです。
全員がボケているだけでは、見世物にならない。
だからイマイチつまんないのです。基本ができていないので、この3人は日本のお笑いで勉強したらいいと思う。