2.深夜の墓地で人知れず繰り広げられる、身の毛もよだつ饗宴、死の舞踏を、故なくして目撃してしまった男女の恐怖の一夜を描いた作品、だと思われる訳ですが。勿論、そうは見えない。裸のオネーチャンが入れ替わり立ち替わり、ひたすら踊る、踊る。せっかくコスプレで現れても、すぐに服を脱ぐ(というか、脱げている)。死霊だか、精霊だか、その類らしいのだけど、裸と言ってもパンツはちゃんと穿いてる(ちゃんと穿いてると言っても、Tバックだったりする)。踊りと言っても、単調で適当な振付、私でも踊れそうな気がしてくるレベル(踊らないけど)。この単調な踊りを見ている最中、数分に一度はふと、この作品の邦題が『死霊の盆踊り』であったことを思い出してしまう。視覚から来るヘナチョコ踊りと、脳裏に浮かぶ「盆踊り」というキーワードとが織りなす絶妙のハーモニーに、笑いがこみ上げてしょうがない。そういや特にネコ女のクネクネ踊りなんて、結構“どじょうすくい”に近いものがありますね。裸踊りをいつまで眺めていてもしょうがないので、その背景に目をやると、墓地の片隅に転がったシャレコウベが、何となくさみしそうな顔をしていて、これまた笑いがこみ上げてくる。とっつかまって縛られた男女が、踊りの前でボケーッと突っ立ってる姿にも、またまた笑いがこみ上げてくる。ついでに言うと、ミイラ男が時々C-3POみたいに見えてきて、さらに笑いがこみ上げてくる。笑いながら見てるうちに、「一体この自由さは何なんだ」と、だんだん感心を(していはいけない感心を)してしまうのが不思議。“意味”というものが削ぎ落された、まさに“意味”からの自由。途中、縛られた男がこっそり縄から手を抜いておく、というサスペンスをわざわざ準備しておきながら、製作サイドが全くこれを重視していない、この自由さ、この余裕(要するにテキトー、意味が無いというより、あったはずの意味が早々に消え去ってしまってる、という感じ……?)。……あ、そうそう、私もヘビ女のダンスは、正直、イイと思いました。思っちゃいました。