3.三峡ダム建設は、世界的なニュースとして有名だが、日本人からすれば、それは単なる海外で起きているニュースにしかすぎず、当然、それに関して特別な感傷を持ち得ない。
それが、本作を観て、心を揺さぶられなかった最大の要因だ。
当然、三峡ダム建設によって住まいを奪われた人がこの作品を観たら、生涯忘れられない作品になるだろう。
映画祭常連のジャ・ジャンクー監督が、数々の受賞歴の中でも一際輝くヴェネチア映画祭グランプリを獲得した本作ではあるが、彼のフィルモグラフィの中では決して上位にくる作品ではないだろう。
万人受けする作品より、もっとジャ・ジャンクー色が出た作品を撮ってほしい。
決して、チェン・カイコーやチャン・イーモウの二の舞になって欲しくはない。
ただ、それを祈るのみである。