1.《ネタバレ》 この感じ、意地でもクリアに見せたくないこの感じ、そおかあ、「CODE46」のカントクさんだったわけか。なんとなく納得。
一言であらわすなら「ロンドンの労働者階級の人々それも中より下・ダメな男たちと働く女たち」というのがあまりにもしっくりくる。
出てくる男出てくる男、老いも若きもみな壊れていてマトモなのが全然居ない。居たと思ったら遊び人で女をモノのように扱う。
かたや女たちは、身の回りにマトモな男が居ないということがよくわかっていて、それでもダメな男と共存していく。ダメな男しか居ないんだから、少しでもマシな生活ができるように祈るしかないじゃないの。こいつが私や子供に及ぼす災難が、少しでも小さくなるよう祈るしかないじゃないの。
結婚しようが子供が生まれようが男がお金を持って帰ってきてくれることの保証はどこにもなく、何回恋人募集をしようがマトモな男が現れることはなく、ダメな夫と別れても子供が居るから縁が切れないうえ金の無心までされる。身内の男は父親も弟も現実から逃げている。まったく、どちらを向いても男が当てにならない。いろんなトラブルは女だけで解決するしかない状態。
なにか女にとっては身も蓋も無く救いのない世界…というところで、ひきこもり黒人青年と次女が接近するエピソードでラストを迎え、一筋の光明が示されたかに見える。
こういう美しくない現実を美しくない出演者によって見せるにあたり、「クリア」な映像で見せない、というのが一つの方法だったのだろう。
個人的には可もなく不可もないが、「日常を切り取って見せる」というだけで映画として成立するのかどうか疑問だ。もちろん脚本もあって演出もしたのだろうが、「美しくない出演者」「どれも中途半端に終わるエピソード」ときて、「(あえて言うけど)汚い映像」とくると、「…どうしてもそれを見なきゃいけませんか」という気になる。「映画ってなに」。
最も驚いたのは妊娠中の三女の無化粧の顔のシミのドアップではなくて、次女の前歯全面差し歯で思い切りスマイルだった。前歯が差し歯の女優が主役…イギリスだなあ、と思った(正直それが映画の感想)。