1.《ネタバレ》 「日本最古」の風格がまったくないアニメーション。劇場で開いた口がふさがらない状態になりまして。
おそらく、間違いないと思ってますが、幕末時代から切り絵を使った影絵ベースの「ライブアニメ」はあったし、興行師もいたわけで、そういう文化の延長線でアニメを作ったんだと思うんです。なので、まるでメリエス作品のように背景が固定された舞台のイメージを脱するコトができないで、古いソフトウェアを新しいハードウェアに移植したような、そんな違和感に満ちています(同時代の影絵舞台が伝承されていればまた、見る目も変わるかもしれないんですが…(追記:てか、ペープサート紙芝居の存在を忘れてたわ))。
「◯◯初」、という立場にあったクリエイターが全員そんな風に新技術の可能性に気づかなかったかというとそうではなくて、『月世界旅行』はちゃんとカットを割って月のどアップを挿入したわけですし(少なくとも画面の切り替えが素早くできる、という映画のメリットを知っていた)、『大列車強盗』のオチのアレはシネマスコープではなくキネトスコープ独特の「ひとりで孤独に体験する」という特徴を考えて撮影したんだと思いますし。
『なまくら刀』には、それに相当する何かが足りない。新しい技術に出会ってクリエイターがワクワクしている、あの感覚が伝わってこない。どこまでも読本や絵草紙の延長線の上にある、遠い過去からの職人的な技術を使って実現した、言ってみればアニメではなくカラクリ滑稽本。
残念ではないが、ありがたがるものでは絶対ない、というのが正直な印象です。