2.どんな背景があるにせよ、子の自立を許さぬ母親ほど、この世に厄介な存在はありません。そんな存在を抹殺したくなる子の心理は、痛いほど分かります。おまけに、抹殺したことに対する罪悪感まで背負わされるこの不条理。どこまでも厄介者が背後霊のように着いてくるのです。母性礼賛などクソ食らえ。母性と言う名の蹂躙があることを知らずに人生を過ごせる幸せを噛み締めよ。主人公の青年を演じた俳優は好みではないが、あの母親の息子という立場にどこまでも同情します。徐々に温度を上げられれば熱いと分からなくなる茹で蛙がごとく、子は苦しみを感じてもそこから逃げられないさらなる苦しさに人生をズタズタにされるのです。ただでさえ好きでないジュリアン・ムーアには何の罪もありませんが、この役どころを演じてくれたせいで、嫌いになりました。おまけにあの老け様。怖いです。どこが「美しすぎる」んでしょうか? 「醜すぎる母」の間違いではないでしょうか。