8.《ネタバレ》 ドラマとしてのみ評価したら2点くらい。その2点も、史実と原作の力によるものでこの映画の力によるものは皆無。プラス1点は、風景に、さらにプラス1点は、風景と同じようにドラマと無関係に存在するだけで惹きつけられる宮崎あおいに。
つまり、この映画は、史実、原作、山岳風景、宮崎あおいを除けば、0点の超駄作。
はっきり言って、映画とかドラマとかいえるレベルに達していない。
出ている役者は巧い人が多いが、とにかく脚本がとんでもなく酷いので努力が
空回りしていて同情してしまう。軍の無理な命令、山岳会との競争がドラマの中心なのだが、それが際立つためには、剣岳山頂アタックが如何に困難かを示さないといけないが、とにかく歩き回って登頂ルートがないと言っているだけで、剣岳のどこを歩いて
どこで断念しているのかさっぱりわからない。 空撮や、地図を示しながらのルート説明、あるいはナレーションなどによって観ている人にわからせる配慮がまったくないので、単に歩き回って、時間切れまじかに突然成功したようにしか見えない。
キーになる行者の言葉や、雪崩に巻き込まれる事故も、ラストの成功に突然繋がった
ような気がする。雪崩によって遭難しかけたが、実は、その危険と思われる雪渓にこそ
登頂成功のカギがあるという筋も、うまく展開されていないので、成功しても唐突に見えた。ダメ脚本では、どんなに映像や演技がよくてもダメ映画にしかならないことを見事に表わしている作品。