2.身も蓋もないことに、誰もが「自分だけは死にたくない」のです。
自分の生命を脅かすものは、切り捨てるしかない。たとえ親でも兄弟でも恋人でも善人でも悪人でも知人でも他人でも、まったく関係なく。
ただ、切り捨てる痛みの大きさが違うだけ。
もちろん、そうじゃない人もいる。
愛する人を失うのなら自分も死にたい。愛する人を助けるためなら自分は死んでもいい。そう思う人もいるでしょう。
実際、映画に出てきた父と娘はそうだった。娘を切り捨てることは父親にはできなかった。
でも、主役たちはそうではなく、「感染したら誰であろうと切り捨てる」が暗黙のルール、というグループだった。
だから仕方がない。前提がそれなのですから、ラストに至るストーリーのすべては、すでにわかっていたこと、なのです。
そこをわかっていてあえて描いた、という映画なのでしょう。
主役たちに選択の余地がないように見えていたが、実はあったのだ、ということ。
他の選択ができない彼らだから、ああいうラストになったのだ、と。ラストシーンの弟のあの思いを描くため、そのための映画だったのだと思います。
私はそうメッセージを受け取ったので、作りの甘いところ(感染防止がマスクだけって!インフルエンザか?)(ここでマスクをとったらいかんだろ?という所でマスクをとる。顔を見せたいのはわかるが…説得力が限りなくゼロに…)(全体に緊迫感がナイ…)etcは、見逃してもいいかな。
しかし、アレですね。
世の中がパニックになった時に喜び勇むのは、平常時だと希望が持てないポジションで生きている人間なんだろうな…と、関係ないことまで考えちゃいました。
それまでの社会の価値体系をすべて無にしてしまうような非常事態。そういう事態が起きた時に、その人間の本質部分が現れるんだろうな…。たぶんワタシは即感染、即死亡…。弱すぎる…(涙)。