3.《ネタバレ》 何年か前の事だ。恐ろしい出来事だった。
突然訪ねて来た元クラスメートと過ごした夕食の後、何か運命的な気持ちの中、彼女と不自然な会話が始まった。何かおかしい。
彼女が呼び鈴を鳴らしたのは、午後にお茶でも飲むような頃だった。
「最近どう?」だとか、「原君は相変わらず悪い」だの落ちのない彼女の話をいちいち深く共感している体で、彼女の笑う顔を眺めている。
僕が慇懃にこの終わりが見えそうもないおしゃべりを聞いているのは、彼女がクラスの中で目立たなくても少しかわいい部類だったからで、それは目の前の顔とあまり変わらない。中学生を卒業してもう七年たつというのに。
そもそも何故都下の大学生で、一人暮らしをしている僕の部屋に彼女がやってきたのか。いかがわしい期待とかシンプルな恋の期待に視線が色々飛ぶ。
会いたくて君のお母さんに住所聞いて来ちゃった、などと言われたらヤバい。ヤバいのにそんなことを彼女はさらっと言う。その後はドキドキと昔話が二人の間を踊った。
会話の中僕は覚悟を決めて「夕ご飯食べてかない?」と言ってみると、ありがとうと笑いながら応じてくれた。退屈な日常が急に明るくなった。
そうやって過ごして、翌日の講義が心配になる頃「また会おうよ」と期待を込めて言うと、彼女は突然「ちょっと待ってて」と外に出て行ってしまった。しばらくして帰ってくるとホワイトボードを抱えていたのだった。
近所の駐車場に車を置いてきていたらしいのだが、いや待て何か変だろ。謎のカタログを渡されて謎の相関図を書く彼女を見つめている。
強い視線で彼女は言う。
「良い品物ばかりだから。君が友達に売れば売るほど豊になれるよ」それでランクが上がってくんだと彼女は細かい説明を始めた。
翌日の昼まで説明はループして、いくのだった。
僕の久しぶりの恋はわずか八時間で終わって、その後は延々とネズミ講の勧誘である。
パラノーマルアクティビティを手に取ったのは、少し面白かった前作の隣に置いてあった続編がたまたま目に入ったから。仄かな期待と、それが豪快になし崩しになったとき、彼女と彼女のホワイトボードが現れる。頼んでないのに。
こう言う続編があんまり面白くないのが作法であるように、僕にこんな形で恋が転がり込んでくるはずが無く、一瞬で気づくべきだったのだ。
○○○●イ怖い。超怖い。