1.《ネタバレ》 主役がスーパースターなら、キャラクター造詣にとやかく言うつもりはありません(ウソ。ちょっとは言うけど)。イチローや石川遼がどんなパーソナリティだろうと、所詮別次元の人間ですから。でも(自分と同じ)脇役が主役となれば、是非とも感情移入したいと思うのです。ところがヒロシという人間がよく分からなかった。倒れている自転車を直す潔癖さ。損な役回りを引き受けてしまうお人好しぶり。これらの性質と、酔っ払って花壇の花を抜いたり、写真を千切って路上に巻いたりする“雑”な部分とが、どうも相容れないのです。後者の描写はドラマでよく目にする典型シーンではありますが、彼にさせるのは間違っていると感じました。この事はアヤの方にも当てはまります。彼女はサッパリした性格。だからといって、売り物の葡萄を無断で頂戴したり、インターネット喫茶のアルバイトに食って掛かったりするでしょうか。キーアイテムを印象付けるため、あるいは彼女に啖呵を切らせるために、無理矢理エピソードを捻じ込んだような。彼ならどうする?彼女ならどう考える?脚本を練る上で必要な人物造詣との調整が、出来ていない気がしました。それに核となる2人の恋愛模様もパッとしません。起承転結の頭と尻尾だけ提示されても困ってしまう。いつ2人は愛を育んだのでしょう。賑やかしの枝葉のエピソードに気をとられて、肝心の本筋が脆弱では意味がありません。物語のコンセプトは気に入りましたし、役者も良い人達を揃えたたけに勿体無いです。以下完全なる余談。松坂慶子について。腐っても鯛。太っても美人女優。さすがにお綺麗です。でも失礼ながら、あの腕ならリキラリアットが打てる。