1.セルジオ・レオーネ作品の中では一番ドラマ性が薄い作品です。娯楽映画ならテンポよく進めればいいのに何の意味もなくワンシーンがしつこく引き伸ばされる上、本筋と関係のないエピソードまで挿入されるので正直ダレます。夕陽のガンマンを見た後だとところどころで前作夕陽のガンマンのロケ地と被ってるので安っぽく見え、リー・ヴァン・クリーフが単純な悪役を演じている姿にもがっかりします。冒頭の殺されるメキシコ人一家が生き残りもいるのにその後全く話に絡まないのは普通に構成上の失敗ではないでしょうか、例えばトゥーコの家族として設定するだけでもラストの決闘にドラマ的深みが出たと思います。トゥーコの兄の神父や無意味な橋の奪い合い等ドラマチックなエピソードもあるにはあるのですが所詮サブエピソードでしかなく、この辺でブロンディとトゥーコの友情を描いておきながらラストの展開がああなるのも違和感があります。全体として個々のエピソードの繋がりが弱くつぎはぎのような構成は平凡なテレビドラマに近いとすら言えます。カルロ・シーミの衣装は砂漠のシーンでのトゥーコのピンクの日傘などいいものもあるのですが、今回は戦争ものということで時代考証を優先したのか地味でいまいちですね。結局この映画の価値はエンニオ・モリコーネの音楽のための壮大なミュージックビデオという点に尽きるのではないでしょうか。