1.《ネタバレ》 復讐というより、自分と同じように拉致&監禁されている被害女性たちを救い出そうとするストーリー。
女性たちを助けて回るうちに、犯人グループの男どもと遭遇して殺し合いになったりするが、まったくの不可抗力で問題を感じない。
むしろ、犯人がヒロインを脅したり憐れみを誘ったり取引を持ち掛けてくるのに対し、「もっと冷酷になれ!自分がされたことを忘れるな!殺されるぞ!」と、人間的なヒロインをもどかしく思ってしまった。
そうして、最初はいちいち動揺していたヒロインだが、徐々に殺しをためらわなくなっていく。というか、そうならないと犯人グループに殺されるのがわかっているので、強くならざるを得ないのだ。
それにしても、銃を突きつけられた犯人たちは、口をそろえて「悪気はなかった」と言うのだが、それが弁解になるとでも思っているのだろうか。
「悪気がなければ何をしてもいい」と、どこかで教わったのだろうか。
「お前らに悪気があろうとなかろうと、関係ない。自分のした事の結果を引き受けろ」と言って一発お見舞いしたいくらい、非常に耳障りだった。
ストーリーの要所要所に、拉致以前の、恋人とデートを楽しむヒロインの平穏な回想のムービーが挟まれる。これにはどういう意味があるのか、彼女の変わりようを描いているのか、何かを示唆しているのか考えていたら、オチはああやっぱり、でした。
まあそれは、大したオチじゃないので、いいとして。
ラスト、犯人の一人を殺さず、彼の家族のいる家に返し、去っていくヒロイン。
そこにまたフラッシュバックのような回想が入る。最後の回想。
彼の捨て台詞。ヒロインから大切な存在を奪い取り、言い放った決して許せない言葉。
その言葉を思い出し、ヒロインは彼の家に帰る。
彼を殺すために、だろう。
それは正解だ。野放しにしたら、また同じことをする男であることは、わかりきっているのだから。
ヒロインは、犯人を殺したらさっさと逃げるのだろうか。
それとも、彼の妻と娘をも殺してしまうだろうか。
それはわからないまま終わるのだが、そこでこの作品のタイトルを思い出す。
レディ・ベンジェンス、原題BOUND TO VENGEANCE、要するに『復讐』、『復讐への束縛』だ。
誰のための復讐だったのか、自分だけの復讐ではなかったことが、最後の回想からわかる。
復讐に縛られた彼女は、きっと彼の家族を彼の目の前で殺すのだろう。
そう予感させて、作品は終わる。
拉致されレイプされ監禁されるという残酷な描写もなかったし、無実の第三者の死もわざと描かない。
そういう抑えた表現が、この作品の持ち味だ。(犯人たちはいっぱい死ぬけど)
好みは別れると思うが、残酷描写を売りにした作品でない事は確かです。