1.《ネタバレ》 現代のオーストラリアを舞台とした西部劇というかなりの変わり種なのですが、これをさほどの違和感なく仕上げた辺りにこの新人監督の手腕が現れています。この人はすぐにスタローンの目に留まって『エクスペンダブルズ3』の監督に抜擢されましたが、確かに光るものはあったと思います。
ただし良かったのは雰囲気作りのみであって、映画として面白かったかと言われれば微妙と言わざるをえません。見せ場に連続性がないためアクション映画としての盛り上がりに欠けるし、冒頭から怪しい人物の目星がついてしまうために中盤以降の方向転換にも意外性がありません。また、主人公と奥さんのエピソードが作品の中核部分にあったはずなのに、この部分にまるで感動がなかったためにドラマ性という点でも外しています。崖から落ちてボロボロ状態で帰宅した旦那を見てもまったく動じず、「あら、顔をちょっと切ったのね」と言って寝てしまう奥さんの鈍さには笑ってしまいそうになりました。