1.アル・パチーノ以外、見たことのある役者は1人もいません(少なくとも私の場合)。21世紀以降のアル・パチーノ主演作品にはこういう傾向が顕著ですが、おそらくそれは、後進のチャンスを広げるために自ら広告塔になってやろうという気概なんじゃないかと勝手に解釈しています。
で、この作品ですが、やたらグロテスクでオドロオドロしいのはおおいに結構。しかし、結局最後までそれ〝だけ〟でした。オチの弱さが致命的。力投するアル・パチーノに報いることができず、「完投負け」を付けてしまった感じです。
ちょっと異質なのは密着取材する記者の存在で、「警官がどれだけの犠牲を払っているか世間は知らないから」という理由はなかなか立派。ちょうど今、「反黒人差別デモ」で悪者にされがちな警察ですが、そこに一石を投じる感じです。ただしその密着ぶりは、雀卓があれば余裕で囲みそうなほど。それはそれで問題ではないかと。