2.《ネタバレ》 ここまでこのシリーズをずっと見てきて色々思うところはあったのですがとにかく気になったのは、人物の描写が雑すぎる、ということ。左之助はただのチンピラだし、無名異は時代劇でまさかの特撮ヒーローの悪役キャラ。それこそわざわざ実写で再現しなくて良かったキャラなのでは、とツッコミが止まらない。刀狩りの張も、斎藤の密偵になってからは改心とまではいかないまでも憎めないキャラクターになっていたのに、実写では結局救いようのないキャラになってしまっていました。斉藤は斉藤で、張程度に騙し討ちにされるようなキャラじゃないのに…。原作ファンを幻滅させる目的で作ってるんだろうかと勘繰ってしまう。
全体的にどのキャラクターも、なぜそういう思いを持つに至ったのか、なにがきっかけで変わったのかという描写が足りなくて、見ていて納得がいかないことが多い。原作を知っていれば、ああそれはこういうことだよね、と原作からの予測が成り立つのですが、そんなふうに作っている時点でこの映画はもう単体では成立していない。そこもこのシリーズ見ていてずっと気になっていたところです。
シリーズ全て見終わった総括として、やはり『るろうに剣心』の魅力は少年漫画でありながら女性も惹きつけるシュッとしたキャラクター達。でありながら男子もテンションが上がる戦闘シーンが大事だったんだと思わせる。映画ではこのどちらも欠けていた。キャラクターについては、剣心と薫だけは原作のイメージに近い俳優を当てていたなと思いましたが、個人的には他のキャストについては全く作風にあっていなかったと思います。上述しましたように、特撮ヒーローなんて論外。
あと戦闘シーンですが、こちらもやはり『るろうに剣心』ということなら飛天御剣流の技が見たい、牙突が見たい、二重の極みが見たいとなるのですが、そのどれもがほとんど出番がないか、あってもさほど目立たない。そりゃあテンション上がりませんよ。少々キツいですが、出来ないなら作んなよ、というのが率直な意見。
まあわかってるんですけどね、漫画の内容を実写に期待すんなよって。だから『るろうに剣心』としては作って欲しくなかった。ひょっとしたら製作に関わった人も、『るろうに剣心』が重荷になっていたんじゃないかな。全然別の時代活劇として作っていればこんなことを気にもしないのに。いろいろ勿体無いなと感じたシリーズでした。