1.《ネタバレ》 主演の仁後亜由美という人は他の映画でも見たことがある。別に好きでもないが、素っ頓狂な声を出す役者ということで憶えていた。
短い映画だが、何か社会派的な性格を持たせたかったようではある。制作が2016年とのことで、近年見られた爆買いの雰囲気を映すとか、常習的な偽造といった行動様式を見せておいてから「ウソばっかだね」などとあからさまに言わせたりしている。一方で、日本で稼いで国に帰れば金持ちだとかいうのは大昔の話のようで、相手の男の人物像もそういう時代のイメージになっている。
個人的には現在の池袋北口とか西川口といった場所の実態を知らないので何ともいえないが、どうも微妙な違和感と今更感のある映画という気はした。しかし相手の男にもそれなりの事情があったことは説明されていたので、それぞれの事情で理解と共感を寄せる人がいてもいいのではと思った。
それよりも、題名に示された主人公のドラマとしては思うところもなくはない。何もしないで終わるよりなら何かした方がいい、という意味だとすればその通りだが(確かにそうだが)、それでどこまで妥協できるのか、その結果を納得して受け入れられるかの問題だということか。できれば後悔しなくて済むといいわけだが。
なお相手の男の台詞が聞き取りにくいのは困った。「デイエル」とは何のことかと思ったが、英語字幕のsexual serviceで何とか察せられた。