1.オープニング(景色から台所の流れ)の美しさに、久しぶりに最高の邦画に出会えるか と期待を膨らませたのだが・・・
初回観賞では、恋愛シーンぐらいにしか感情移入出来なかった。
敢えて抑揚を廃し、台詞も少ない、そんな映画はむしろ個人的には好みなのだが、
この映画は重要な台詞でさえ聞き取りづらく、しかもそれを聞き逃すと後の展開の理解に苦しむ。
リアリティの徹底から、まさに日常会話のような演出をしたかったのだろうが、何を言っているのか解らないのではリアリティも映画の中、監督の中だけで完結、観る側は蚊帳の外のような気分にさせられてしまう。
そして、家族構成や父親の内に秘めていた思いは、最低限丁寧に描くべき部分であるはず。
観る側の感性が試されるとかそういった解りづらさではなく、単純に最低限の説明すらしなかったための悪い意味での解りづらさ。
実際観賞後、この映画の情報を調べ把握してから2回目を観賞してみると、素直に美しさや空しさ、切なさを感じ取る事が出来た。
キャストは本当に素晴らしかったため、何とももったいないというか。
若い監督が作る映画の未完成な「荒さ」は僕は大好きなのだが、この映画の「荒さ」は完全な手落ち。残念。
前情報ありきで、人物像を把握して観れば、深く感情移入出来る良い作品だと思います。