1.思うに、この時期のジョン・ウーは、作家的キャリアの集大成である『ワイルド・ブリット』を撮ってしまったことで燃え尽きてしまっていたんじゃないか。まるで彼らしいリリシズムもセンシティビティもない、単に技術的にマニエリスティックなだけのアクションシーンのオンパレード。…ハデさだけで満足できる向きにはよろしいのかも知れないけど、ぼく(たち)の好きなジョン・ウーは、こんなんじゃない! 粋も意気もありすぎるくらいな男泣かせのドラマを、この監督がふたたび取り戻すのに、ぼくたちは『フェイス/オフ』まで待つことになるのだった。