1.《ネタバレ》 2013年から見てとうの昔に退役し解体された船について、発売元のコメントに「最新鋭航空母艦」と書いてあるのは苦笑する。ただ、20世紀後半のフランス海軍のいわば花形だった空母クレマンソーと、その搭載機を見るためにはいい映画だと思われる。個人的には最新鋭かどうかと無関係に、艦載機の基本的な発着艦の仕組みをしっかり見せようとしていたのが面白かった。
これをSF映画として見ようとしても別に大したことが起こるわけでもなく、わずかな特撮部分も貧弱で見ていられない。また普通のドラマとしても、最後は尻切れ状態で適当に格好付けたような感じである。しかし純粋に軍事映画として見れば、宇宙人が来たなどという常識外れな状況に、現実のフランス海軍が大真面目に対応する様子を描いた映画と取ることができ、それ自体に茶目っ気が感じられないでもない。メインプレーヤーはあくまで米ソで、フランスは脇役のためストーリーとしては全く盛り上がらないのだが、それもかえってリアルに感じられた。
またそれとは別に、この映画では艦内の人間模様にも重点が置かれているらしく、マイナス要素を負わされた者も含めて、最新鋭(当時)の軍艦も人間が運営していることが示されているように思える。不適格者の事例をクローズアップして見せたり(扱いがちょっと酷)、軍務と信仰の関係にも触れたりしていたのは、何か海軍についての入門編を目指したようにも感じられた。
ほかテーマ曲が昔風に格好いいので、それに乗せられてとりあえず面白がって見るといいと思われる。「トップガン」より飛行機の型が古そうだなどと思わないように。