3.若きヒトラーとユダヤ人画廊の交流という着想は素晴らしいのですが、肝心の本編は至って平凡でした。斬新なヒトラー像が提示されることを期待していたのに、本作に登場するヒトラーは誰もが想像するヒトラーそのもの。神経質で、コンプレックスの塊で、自分を否定されると烈火の如く怒り出す。これでは面白くありません。どうせフィクションなのだから(マックス・ロスマンというユダヤ人画廊は実在しません)、純朴な愛国青年がダークサイドに堕ちるスターウォーズのような物語にでもすればよかったのです。。。
なお、ヒトラーの人となりについては「ヒトラー最期の12日間」が正しいようで、普段は穏やかな紳士だったようです。大声でまくしたてる姿はあくまで彼の演説術に過ぎないのですが、そんな演説の姿から個人としてのヒトラー像を作り上げた本作のアプローチは、やはり陳腐であったと言わざるをえません。