1.《ネタバレ》 昔から気になっていたが、実際見てみると、"見た"という現実が満たされただけだった。'90年代当時の高度経済成長真っ只中のホーチミンの闇社会を描いた本作はヴェネチア映画祭で最高賞に輝いた。では、どうして評価されたか? 闇社会に片足を踏み入れた少年と、既にその世界に染まった男の対比。少年の姉の一途な想いと、売春をさせて見て見ぬふりをしていた男の対比。3人が純粋さと残酷さの狭間に葛藤する様をひたすら映し出し、何を考えているか観客で補完してください、というフランス映画らしい作りではあるが、「それで?」という感じです。ただ、ジャンルは違えど、監督の純粋さが貫かれているのは分かったし、レディオヘッド好きなのも分かった。ラストの民謡を弾く子供たちの純粋さが、これからのベトナムを作り出す希望のように思えた。