1.《ネタバレ》 本作は全体的にエロティックであることはジャケットから容易に分かるのだが、同時にかなりグロテスクでもあった。
そしてまた、不快感を際立たせるあざとい演出が随所に散りばめられている。
その為、観ていて単純に不愉快になることがしばしばであった。
ただ、話の展開としては、終盤にちょっとしたどんでん返しがあり、それなりに楽しめる。
芸術的な部分を押し出しているのかと思いきや、案外、単純な娯楽作品であったりするわけだ。
そういう意味でも、もっと映像的に洗練させて欲しいと感じた。
グロテスクな場面にしても、ただ単にグロテスクなシーンを挿入すればいいといった感じで、実に作りが雑。
まったくリアリティがない。
最後の方で、とある人物が両手両足を切断されて“だるま状態”で監禁されているシーンが出てくる。
これと似たシーンは、三池崇史監督作品『オーディション』にも出てくる。
“麻袋からダルマ男がにじり出てくる”シーンである。
両作のこの“だるまシーン”のリアリティや恐怖感や面白さを比較すると、圧倒的に本作よりも三池監督の『オーディション』の方が上である。
本作を鑑賞して細部の作りの雑さを感じたと共に、三池崇史の凄さを再認識することができた。
そういう意味では、有意義な作品だったのかもしれない。