1.なるほど、こりゃあ地獄だ。ヴィクトリア湖の生態系をぶち壊した巨大魚ナイルパーチの、腐った肉片が付着した骨を天日干しているシーン(地面は魚の油でグチャグチャ、魚には大量の蛆・ハエがたかる。そこで働く人々は腐乱により発生するガスで目をやられ、服もボロボロ。それでも仕事がある分、まだマシだと話す。)が強烈。ヘコむとか、そういった感情を突き抜けて「もう、どうでもいいや」という開き直りの念だけが残る。同時にこんな映画を撮った奴は相当なバカだと思った。貧困や政情不安が蔓延る社会を、とにかく生々しく、言い換えれば贅沢に、それがこういう映画に対する唯一の有効性であるかのごとく(しかもそれらを包むグローバリゼーションの功罪をふんだんに匂わせつつ)、そしてそれが誠実な態度であるかのようにタンザニアの現状(らしきもの)を捉えるカメラ。まあ当然、あえて「地獄」だけを見せてるんだろうが、そうしたドキュメンタリーにおける虚構性と安易に戯れる様はかなり見苦しい。この映像を撮っている奴らを対象とした方がよっぽど面白いドキュメンタリーになるに違いない。タンザニアの歌を歌った娼婦が殺されたと知った時に、彼らが見せたであろうしたり顔とかさ(笑)